おしまコロニーの機関誌「ゆうあい」は隔月で、御家族の方々をはじめ、全国各地の施設・関係機関、団体等に配布されております。多くの方々の寄稿文、実践活動やイベント、エピソードなどを交え、みなさまに近況をお伝えしております。

 

2017年6月号



施設長に就任して


           函館青年寮 施設長 山本 隆司

この度、平成29年4月1日付で、「函館青年寮」の施設長に就任した山本と申します。平成元年に社会福祉法人侑愛会に入職して、早いもので28年が経過しました。最初の赴任地は、当別地区の「新生園」でした。他にもグループホームや通所施設での勤務経験を重ね、現在の「函館青年寮」での職歴は足かけ14年になります。「新生園」では、利用者の皆さんと一緒に歩行訓練や屋外運動などに汗を流したことが思い出深いですが、この仕事の基礎となるたくさんの経験をさせていただきました。グループホームでは、人生の先輩と呼べる利用者の方たちから叱咤激励を受け、「函館青年寮通所部」では、保護者の皆さまの深い愛情や願いから多くのことを教わりました。

各事業所で色々な経験を重ねることで感じたのは、どこへ行っても「利用者の方達一人ひとりとの声に耳を傾け、相手の立場に立って応えていく」ということでした。今後も障がいの重さや言葉のあるなしに関係することなく、利用者の皆さんが安心して暮らせるよう寄り添っていくことを心がけていきます。

「函館青年寮」は平成13年の全面改築の際、80名であった定員を40名としました。比較的障がいの重い方達を中心に、きめの細かい医療・介護ニーズに応える役割を担うことを期待されました。その後、年を追うごとに予想を超えるスピードで介護を必要とする方が増加しています。生活部分においては玄関ドアの間口を広げたり、各寮に個浴を増築するなど生活環境を少しずつ整えてきましたが、日中活動のあり方についても、現在行われている作業体制を維持することが難しい状況となってきています。今後については同じ地区にある他の事業所とも連携し、少しずつ体制を整えながら身体的な負担の少ない生産活動や創作活動・リハビリテーションといったことにも取り組んでいく必要があると考えています。また、自閉症の方達に対する支援についても、服巻智子先生や諏訪利明先生からアドバイスを頂きながらのコンサルテーションも四年目となり少しずつ成果が現れてきていることを感じます。一人ひとりの支援を大事にしながら、職員全体の知識や技術の向上に努めていかなければならないと思っています。最後にショートステイについてです。ここ数年はご本人に対する支援を希望される他に、ご家族の皆さんの入院や手術といった健康面の問題が原因となり、ショートステイといいながらも数ヶ月間の利用が必要であったり、その後に入所するといったケースも増えています。今後も多様化・複雑化するニーズに少しでも応えていけるように努めて参りたいと思っています。

最後になりますが、施設長という舵取りを仰せつかり、その職責の大きさに戸惑っていますが、職員一丸となり、利用者の皆さんが、健康で笑顔いっぱいの生活が送れますよう努力して参りますので、ご指導・ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いいたします。




施設長に就任して


   ワークショップまるやま荘 施設長 紀谷 智彦

この度、平成29年4月1日付で「ワークショップまるやま荘」の施設長に就任いたしました。

私は平成3年に「ゆうあい養護学校高等部」で教員として6年間、平成9年より「星が丘寮」で生活担当を6年間経験し、平成15年に「ワークショップまるやま荘」に異動しました。また、地域生活の拠点の一つである「サポートかわつき」のサービス管理責任者も経験させていただきました。入職して今年で27年目を迎えております。

侑愛会の施設は、利用する方々の様々なニーズに応えるために、それぞれに特色を持たせており、そのこともあって異動すると一から学ばなければいけないことが沢山ありました。異動するということは新たな挑戦と自分に言い聞かせ、山や谷を越えていくことで知識が豊かになるはずだと信じ込みながら今日まで来ました。つらい時に助言していただいた上司や苦労を共にした同僚、そしてなにより利用する方々とご家族の笑顔に支えていただいたから続けてこられたと思っております。そして色々な事に挑戦させていただいたことで、知的障がい福祉に関わる仕事の多種多様性を体験し、視野が開けてきたように感じます。

私が新任の時に新築工事が開始された「ワークショップまるやま荘」に赴任して14年経ちますが、これまで様々な取り組みを職員一丸となり行ってきました。日中活動は何度も形を変えながら、より良い活動内容を模索してきました。数年前より自分たちのペースと安定した作業量の確保をねらい、自主製品を制作する事に着眼して取り組みを行っております。職員の努力と利用者の頑張りもあり、自主製品の定着がすすみ、活動の作業量も安定してきています。また、平成21年に事業移行してからは、これまでの入所の機能だけではなく、通所としての事業も加わりました。グループホームや家庭で暮らしている方の受け入れを行っていますが、常に関係する事業所やご家庭と連携しながら利用者支援を展開する事を心がけていきます。

これまで130名ほどの方がワークショップまるやま荘から生活の場を移されています。これまで行ってきたグループホームの立ち上げやバックアップを行ってきた経験と、現在行っているグループホームとの連携から導き出されてきた事柄を支援内容に盛り込みながら、利用する方や地域の声を細かく拾い、一人ひとりのご希望や可能性に合わせた支援を各事業所や地域の方々と連携しながら継続して行っていきたいと考えております。

この仕事の基本ではありますが、利用する方やご家族の方々に寄り添い、思いを丁寧に聴きとりながら一人ひとりの幸せの形を考えていきたいと思っております。そして挑戦していく大切さを職員と一緒に更に経験を重ね、次々と押し寄せる試練を職員一丸になり、乗り越え、前に進んでいきたいと思います。これからもご指導を賜りますよう、よろしくお願い致します。



 

コラム「紙ふうせん」



「言ったことが全然伝わっていなかった」という思いをした経験はないだろうか

マレービアンの法則という、非言語性コミュニケーションの重要性を示す法則がある。相手にメッセージを伝える時、言語情報(内容)が7%、聴覚情報(声の大きさ等)が38%、視覚情報(身振り等)が55%の重要度を持っているという法則で、自分の意見や思いを伝える際は、単に伝えたい内容だけを工夫して話すのではなく、話し方やボディランゲージ等にも意識を向ければ、より強く、正しく伝わりやすくなるといわれている

自閉症の特性の一つに、感覚の特性がある。聴覚や視覚、触覚等の感覚刺激に対し、過敏に反応したり、逆に全く反応しなかったり、状況によって反応が異なったりすることがある。聴覚刺激に過敏さがある人へ「良くできたね」とか「えらいね」等と声を掛けても、声が大き過ぎると、ただの不快な雑音となる恐れがある

先日、ある利用者にTTAP(※)検査を実施した。検査項目の一つに「お金の計算」がある。机に1円、5円、10円、50円、100円、500円の硬貨を複数枚並べ、「10円ください」等と言葉で指示し応じられるかを確認する。応じられなければ、文字で指示を示したカードを見せて応じられるかを確認する。彼は馴染みのある物や活動であれば、言葉の指示に応じて行動に移せるが、この場面では言葉の指示に応じられなかったため、文字カードを使用して検査を続けた。結果、<10円ください>の指示には正しく応じるが、他の指示には応じることができなかった。興味深かったのは、<150円ください>という指示に対して、1円玉と50円玉を差し出してきたことだ。これは、数字の1と1円玉、数字の50と50円玉をマッチングさせた結果の行動で、文字の指示を彼なりに解釈した結果だと考えられる

伝えたいことを相手へ正確に伝えるための効果的な方法は、相手の数だけ存在するだろう。まず自分が相手のことを知ろうとすることから、伝えるための準備が始まるのではないだろうか。これからも目の前にいる人、一人ひとりと向き合い、伝え方を工夫していきたいと思う。



※TTAP〜自閉症スペクトラムの移行アセスメントプロフィール



      ねお・はろう 上川 孝一

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