おしまコロニーの機関誌「ゆうあい」は、毎月、御家族の方々をはじめ、全国各地の施設・関係機関、団体等に配布されております。多くの方々の寄稿文、実践活動やイベント、エピソードなどを交え、みなさまに近況をお伝えしております。

 

2016年2月号


法人重点課題の取り組み その4
障がいの重い方々への支援


星が丘寮 園長 中野 伊知郎

法人第三期五か年運営計画の重点課題として「障がいの重い方々への支援」が示されています。今回は、「ゆうあい」の紙面を通して、私たちは今、この「障がいの重い方々への支援」に対して、どのように考え、何を実行しようとしているのかを、これまでの取り組みを通してご紹介いたします。

障がいの重い方々の支援は、大きく二つのテーマで考えています。一つは、「自閉症の方を含めた障がいの重い方々の地域生活の推進」、もう一つは、「入所施設を中心とした再構築」です。

このことは、おしまコロニーが開設以来、重点的に取り組んできたことの一つで、現在のような知的障がい児者を中心とした事業を展開してきた原動力になってきたものです。しかし、改めて、このことを再検討する必要が生じている背景には、近年の福祉の取り巻く環境の変化が大きく関係しています。

障害者権利条約への批准に合わせて、社会福祉基礎構造改革をはじめとした福祉制度改革やノーマライゼーションの台頭、さらに、共生社会の形成など、障がいの有無にかかわらず、社会全体で支え合いながら誰もが豊かな暮らしが営めるようになることを理念として掲げ、様々な改革が行われてきました。

その流れの中で、措置制度から利用契約制度へと変わり、障害者の権利を守るための障害者虐待防止法が施行され、今年四月からは障害者差別解消法が施行されます。また、入所施設をはじめとした居住のあり方についても大きく方向転換が示されました。

国は入所施設を増やさないことを明文化し、実際に入所施設の定員を削減するための数値目標が設定されています。そして、それに代わる居住場所として、在宅やグループホームなどの地域生活への転換が進められています。しかし、重い障がいの方々にとって、入所施設の機能である二十四時間三百六十五日切れ目のない支援と包括的なサポートを必要としている人もいるため、入所施設の削減は、重い障がいの方々の暮らしの場を失ってしまうことにもなりかねません。そうならないためには、入所施設利用者の循環を図っていかなければなりません。しかし、そのためには、入所施設の機能を継続していける新たな暮らしの場を作り、そこに関わる人材を育てていくことが必要不可欠となってきます。

平成二十七年十一月には、自閉症の方々を対象としたグループホームすばるを開設し、星が丘寮の利用者六名の方が、新たな生活をスタートさせました。この事業は、知的に重度の自閉症の方を中心とした地域生活の推進に向けた一つのモデルとして考えていきたいと思っております。また、ここでの実践を通して、自閉症の方々の暮らしを支えていくために何が必要なのかを再確認し、次の展開へとつなげていける場所として考えています。

※グループホームすばるの生活の様子については、特集をご覧ください。

また、一方で入所施設を利用されている方々の高齢化、重度化なども、今後の大きな課題としてあげられます。そのためにも、現在、入所施設を利用されている方々の状態像を正しく把握し、その機能を再検討する必要があります。そこで、昨年は、おしまコロニーを利用する方々を対象とした実態把握を行うためのデータベース作成に着手しております。

今年度は、そのデータをもとに五年後、十年後の入所利用者の状態を把握して、それぞれの入所施設の機能と、その役割について協議を行い、計画的に施設の整備を行っていく事により、それぞれの入所施設の専門性を高め、多様なニーズに応えていくための具体的な方策を示すことができるのだと思います。

重い障がいの方々にとって必要とされる支援とは、一貫したサポートを継続的に行うことができ、そして、そのことが暮らし全般にわたって包括的に実行できるものではなくてはならないと考えます。そのことを基本として、今後の展開を様々な角度から検証し、実行していくための指針となるものとして、現実性のある計画を作り上げていきたいと思っております。




 


特集 グループホームすばる


グループホームすばる 林 経夫

平成27年11月にグループホーム「すばる」が開所いたしました。場所は、北斗市当別の小高い丘、ゆうあいの郷に位置します。入居者は6名のグループホームです。その他に、短期入所1名を併設して運営しています。入居されている方は、すべて成人男性で、以前は同じ法人の入所施設である星が丘寮を利用されていた自閉スペクトラム症の方々です。

今回は、「すばる」の紹介と合わせて、星が丘寮での取り組みと、引越しに際してのエピソード、そしてこれからの「すばる」のことをお伝えしたいと思います。

ダイニングとホール。みんなでリラックスできる空間に。

ダイニングとホール。みんなでリラックスできる空間に。

星が丘寮での取り組み

星が丘寮は、昭和六十三年に開所した障害者支援施設です。利用されている一人ひとりの個性、特性に合わせて、暮らしに必要な生活スキルを獲得するために、様々な方法で手順やヒントを伝え、利用者の方が一人で出来ることを増やしていけるように取り組んでいます。また、「今、何をするのか。次に何をするのか・・・」「その日一日の見通しは・・・」「週間、月間、年間の予定はどうなっている・・・」を理解してもらえるように、一人ひとりがイメージしやすいモノ(文字、絵、画像、実物など)を使って支援をしてきました。

一人ひとりのわかりやすさに合わせた月間の予定(奥)と今日の予定(手前)。

一人ひとりのわかりやすさに合わせた月間の予定(奥)と今日の予定(手前)。

平成二十三年には、地域での暮らしをめざしてゆうあいの郷に星が丘寮の六つ目のユニットとして、定員五名の小舎を活用した支援モデルを開始しました。その目的は、グループホームでの暮らしを想定したときに、必要な支援は何であるかの見極めと、その必要な支援の再構築でした。小舎での暮らしの日々そのものが、「すばる」での暮らしの土台となり、利用者一人ひとり、そして職員も自信と期待を持って、引越しを迎えました。

「すばる」への引越し

「すばる」への引越しに際しては、一ヶ月前から週末を利用して、建物と部屋の確認を兼ねて、荷物の運び出しを行いました。それぞれの月間予定で荷物の運び出しを行う日を伝え、当日の日課(スケジュール)にも示しました。使わない季節ものの衣類ケースや段ボールを、新居となる「すばる」へ少しずつ運びました。各部屋のドアには、各々の名前と顔写真を貼っておきました。初日は、荷物を抱えて右往左往する方もいましたが、二回目以降ともなると、皆さん、ご自分の部屋まで一直線に向かわれ、その顔には不安の色はなく、スムーズな引越し作業となりました。

引越し当日の一コマ。自分の荷物を自身で運び、「実感」あるものに。

引越し当日の一コマ。自分の荷物を自身で運び、「実感」あるものに。

無事引越しを済ませ、大きな混乱もなく新生活を開始することができたのは、暮らしに必要な生活スキルを手助けする道具(手順書や音声機器を使用したガイダンスなど)や見通しを持つための視覚的な情報(カレンダー、一日、週間、月間、年間の各予定表など)を、各々が理解できる形式で獲得していたことと、そしてそれらを暮らしの一部として、しっかりと根ざしたものになっていたことが大きかったと思います。それまでとは違う新しい部屋、食堂、洗面所、お風呂、洗濯室を前にしても、今までと同じスタイルでオッケーということが、どれだけ大切なのかを引越しを通じて、皆さんから学ばせていただきました。

食後の食器洗いの様子。

食後の食器洗いの様子。

特にYさんは、荷物の山と格闘している職員をよそに、すべての荷物を運び終えてから十分ほどで、誰の手も借りずに以前と同じ部屋のレイアウトを再現させ、オーディオプレーヤーでいつものお気に入りのプレイリストを聴きながら、悠々と新生活を始めていたのは、さすがの一言でした。

「すばる」のこれから

「すばる」があるゆうあいの郷は、函館市、北斗市街からは、車で一時間弱を要する離れた場所に位置しています。便利なコンビニも近くにはありません。意地悪な見方をすれば、せっかくのグループホームでの暮らしなのに、「地域での生活」と呼べるのかという疑問も出てくるかもしれません。私たち職員は、その問いに対して、いかに地域にある資源を活用した暮らしに近づけるかを追求していきたいと考えています。働く場、買い物をする場、スポーツイベント、地域の祭りなどに積極的な関わりを持って、一人ひとりの暮らしに彩りを添えていきたいと思います。

余暇の一コマ。好きなことに夢中になれる「いひひ」や「うふふ」な時間を過ごします。 毎日の仕事を頑張りながら、休日には季節を存分にENJOYします!

左:余暇の一コマ。好きなことに夢中になれる「いひひ」や「うふふ」な時間を過ごします。
右:毎日の仕事を頑張りながら、休日には季節を存分にENJOYします!

皆さま、お近くにお越しの際は、ぜひ「すばる」にお立ち寄りください。すばる職員一同、心よりお待ちしております!

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