おしまコロニーの機関誌「ゆうあい」は、毎月、御家族の方々をはじめ、全国各地の施設・関係機関、団体等に配布されております。多くの方々の寄稿文、実践活動やイベント、エピソードなどを交え、みなさまに近況をお伝えしております。

 

2015年11月号


法人重点課題の取り組み
その2 高齢化対策


侑愛荘 園長 祐川 暢生

侑愛会が第三期5か年運営計画の重点課題として高齢化対策を掲げた理由は二つです。第一に、利用者の中で高齢期に達した方々が増えていること。平成23年の調査では、入所施設とグループホームの利用者のうち、65歳以上の方々が12.2%を占めました。55歳以上を高年齢層と考えると、その割合は31.5%にのぼります。利用者の高齢化対応が私たちの重要課題であることがこの数字に示されています。第二に、「日本では……現行の障害関連諸法が、障害のある人たちが歳をとることを想定しておらず、その対策も含めて未確立な状態」(佛教大学 植田章)にあることです。高齢期支援の課題はある程度整理されつつありますが、侑愛会だけでなく、知的障がい者福祉全体がそれに対する具体的解決の方向性を見出しあぐねています。しかし高齢の利用者への私たちの理解、支援の遅れはもう看過できない問題となっているのです。

高齢化の波は社会全体を覆っています。2025年には団塊の世代が後期高齢期(75歳)に達し、2013年と比較してその数は1.4倍に膨れ上がります。生産年齢人口と高齢人口の割合は2010年に三対一だったものが2050年に向かって一対一に近づいていきます。そうした社会の高齢化という大状況のもとで知的障がい者の高齢化が進んでいるという認識が、今後の高齢期支援の解決の道筋を見出すために不可欠です。知的障がい者の高齢化の問題は、知的障がい者福祉の枠内、ましてや一法人という枠内だけで解決できないからです。社会が高齢化問題に対応していく「本流」と呼応し、併走することで解決に近づけると考えるべきです。現在「地域包括ケア」の推進が叫ばれていますが、それは一言でいえば、慣れ親しんだ暮らしの場で医療、介護、福祉等、生活支援サービスが包括的に提供される地域体制を指します。地域包括ケアの提唱の背景には、介護保険制度の持続可能性が危ぶまれ、総合的介護保障として機能不全に陥っていることが挙げられます。ですから「共助」としての介護保険に加えて、ボランタリーな資源を活用する「互助」、高齢者本人の努力による「自助」、公的資金で賄う「公助」、すべてを組み合わせて地域で安心に高齢期を過ごし続ける仕組みを作り出すことが打ち出されているわけです。国の高齢化対応の破綻が地域包括ケアシステムを押し出してきた側面がありますが、地域のあらゆる力量を総動員しなければ、社会、地域の高齢化を支え切れないのも確かなのです。

知的障がい者が総人口に占める割合は2%強、その中で高齢知的障がい者は更に少数に過ぎません。その方々の人生を支援してきた私たちが、これまでに培った専門性を手放すことなく、その存在、ニーズ、課題を社会、地域に知らせ、社会の高齢化問題解決にリンクさせ、地域の他領域/多領域の専門家や住民と連携、協働していく方途を探らなければなりません。

私たちの法人における具体的な取り組みとして、まず利用者の高齢化の実態を正確に把握する必要があります。利用者データベース構築の作業が現在取り組まれていますが、それを通して、今後高齢化がどう進展するか、それに伴いどのような問題が出来するか、予測を立てて対応を講じていきます。次に、既に高齢化し機能低下した利用者が私たちの目の前におられるわけですから、その支援を継続、充実させる方策を見出していかなければなりません。機能共同体であるそれぞれの事業所が、できることを検討し、相互に連携、協力して、利用者のニーズに合わせた入所施設⇔地域生活の往還、事業所間の利用移行の流れを再構築していきます。さらに上で述べた、地域包括支援センターを始めとする地域の他領域機関との協働ルートを模索することが大きな課題としてあります。これは、特に地域生活を送る利用者の高齢期を支えるために大切です。決して平坦な道筋ではないけれど、実のある連携、協働を実現していきたいと考えています。

top

前のページにもどる