おしまコロニーの機関誌「ゆうあい」は、毎月、御家族の方々をはじめ、全国各地の施設・関係機関、団体等に配布されております。多くの方々の寄稿文、実践活動やイベント、エピソードなどを交え、みなさまに近況をお伝えしております。

 

2015年8月号


ゆうあい編集委員が行く!訪問記 Vol.12


新生園 米田・安田
まるやま荘  千葉

おしまコロニーの出発は今から47年前の昭和42年のことでした。海に山が迫った海岸線を函館から西に30kmほと辿った上磯町(当時)当別の地に、知的障がいのある子どもたちの施設『おしま学園』を開設しました。以来、いかなる世代の人たちでも支援を受けることが出来る体制の構築を目指し、現在その事業所の数はグループホーム等の小規模なものも含めると80カ所を数える、国内でも有数の規模を持つ法人となりました。それは「器」としての施設を超えて、施設の持つ「支えとしての機能」を柔軟に組み合わせ、様々なニーズに多面的に応じていくための歩みの結果と言えるのかもしれません。この「つながり」こそが、おしまコロニー固有の大切な財産となり、その存在証明となっていきました。新しい企画「訪問記」では、ゆうあい編集委員が、この「つながり」を確認、また再発見するための取材に出かけます。ご期待下さい。



 

今回は、久根別地区(北斗市)にある三つの事業所を訪ねます。一か所目は、障がい者生活支援センター『アシスト・ほくと』、北斗市の委託を受けて各種相談支援業務を行っています。二か所目は、ヘルパーステーション『ルーチェ』、障がいのある方たちの地域生活を支えるために各種ホームヘルプサービスを行っています。そして最後は、『サポートカーム』、久根別地区に点在するグループホームで暮らす方たちを支えています。

障がいのある方たちや、そのご家族の生活について、地域のネットワークを活かした多様な福祉サービスでサポートするこれらの事業所を取材しました。

アシスト・ほくと

アシスト・ほくと

本日最初の訪問先は、『アシスト・ほくと』です。事務所は「訪問記Vol.7(一月号)」で訪れた『ワークセンターほくと(北斗市押上)』の中にあります。

障がい者生活支援センター『アシスト・ほくと』は「相談支援」を行っている事業所です。施設で生活する方たちへの直接支援業務が仕事の私たちにとって、取材に来る今日まで「相談支援」について具体的なイメージを抱くことは難しいことでした。対象とする利用者の方たちに障がいがある点では共通しているものの、種別は「知的」に限らず「障がい全般」、かつ不特定多数の方への間接支援業務…?制度や情報に精通し、電話口で相談を受けては助言をして、必要があれば、時折家庭訪問にでも行くのだろうか。そんなことを想像しつつ、建物の門をくぐりました。

到着後、長谷相談員からまず「相談支援業務」のイロハについて説明を受けました。

相談支援とは

どのような障がいや疾病があっても、ご本人やご家族が希望する地域で、安心して暮らし続けることを支える活動を総称して「相談支援」と呼びます。「相談支援」は様々な形で以前から行われてきたものですが、法制化されたのはつい最近のことです。平成十二年の社会福祉基礎構造改革の流れの中で示されました。それまでは、障がいごとに相談する場所が違ったり(障がい程度や相談内容によっても違い有り)、市町村の窓口に行っても専門の施設や機関を紹介されてお終いにされ、ご本人やご家族が地域生活を営む上で心配なことや困ったことについて日常的に相談できるような場所はほとんど無かったと言えます。

説明を受ける編集委員

相談支援の業務内容とは

現在、法律上の相談支援には大きく分けて次のものがあります。①基本相談支援(障がいがある人の福祉に関する様々な相談を受け付けたり、各種福祉サービスや必要な情報の提供などを行う)、②計画相談支援(サービス等利用計画の作成と、その後のモニタリング)、③地域相談支援(地域移行や、地域定着に関するサポートを行う)、④その他(障害支援区分認定調査など)

『アシスト・ほくと』の成り立ちについて

当時の上磯町から委託を受けて、障がい者生活支援センター『アシスト・かみいそ』として平成十五年に開設しました。おしまコロニーには、すでに『ぱすてる(平成十一年開設)』がありましたので、そこがモデルとなりました。平成十八年、現在の『アシスト・ほくと』となりました。私(長谷相談員)は、開設当初から相談員として在籍しているのですが、それまでは知的障がいのある方たちしか関わったことが無かったので戸惑いがあったのは事実です。また、開設当初は認知度が低く利用数が伸びないこともあって、事業所紹介と併せて「障がい」や「福祉」に関する啓蒙活動を熱心に行いました。また、平成二十二年には北斗市から依頼を受けて家庭訪問を繰り返し行い、在宅障がい者の実態調査を行ったこともあります。そうした取組みから福祉サービスにつながった方もいらっしゃいます。

大切にしていること

私一人の力ではもちろん、『アシスト・ほくと』だけでも何も出来ません。ご本人やご家族を始め、地域住民の方たち、おしまコロニーの各施設、行政機関や関係機関との「つながり」こそが大切なんです。そういった意味では「相談支援」の中心的機能は、関係を「紡ぐ」ことであり、人、物、資源との橋渡しを行い、障がいがあってもその人らしく暮らし続けることを支える役割である、と言えるかもしれませんね。




他にも、たくさんのエピソードや苦労話を伺うことが出来ました。「支援には答えや型が無い」よく耳にする言葉です。それでも、私(米田)の仕事でいえば、在籍する利用者の方たちに対して、毎日の日課や支援の内容など、支援の目安やルーティーンがあります。しかし、相談支援では全てオーダーメイドで応えなくてはいけないように感じます。障がいのある方たちを「支援」するという意味では同じでも、ここまで違いがあるのかと驚くと同時に、利用する方たちの幸せを願い、チームで成果を目指す姿勢は全く同じであることにも気付かされた取材となりました。

ルーチェ

サポートカーム・ルーチェ

サポートカーム・ルーチェ

昼食は『ワークセンターほくと』の食堂で頂き、次の訪問先ヘルパーステーション『ルーチェ』に向かいます。ゆうあい三月(五一一)号の特集でご紹介したグループホーム『ボンコパン(カーム)Ⅵ』と同じ建物の中に併設されています。場所は、『クッキーハウス』から北に五百Mほど旧大野方面に進んだ右手にあります。事務所に到着後、先ほどと同じ長谷相談員から事業の説明を伺うことになりました。長谷相談員ですが、実は『ルーチェ』の管理者も兼務されているのです。

『ルーチェ』は、今から四年前の平成二十三年に開設されました。事業内容は「居宅介護事業(居宅における身体介助、家事援助、通院介護、相談助言など)」と「移動支援事業(外出が困難な方への付き添い支援や介護)」を二本の柱としています。この春、同じヘルパーステーションの『やまびこ』が統合されました。どちらも「居宅介護事業」と「移動支援事業」を行うヘルパーステーションでしたが、『ルーチェ』は、後でご紹介する『サポートカーム』で暮らす方たちの「居宅介護」をメインとする一方、『やまびこ』は、『ぱすてる』が主催するサークル活動参加者へヘルパーを派遣する「移動支援」を看板メニューにして来ました。同じヘルパーステーションでありながら、持ち味が違う両者が統合し、事務所も新しくなって、この春再スタートを切ることになったのです。

サポートカーム

最後は『サポートカーム』です。説明や見学案内は、サービス管理責任者の大野さんにして頂きました。『サポートカーム』が支援するグループホームは現在十六か所、久根別を中心とした地域に点在しています。グループホームの形態は、①一戸建て住宅(賃貸)五か所、②一戸建て住宅(法人所有)四か所、③アパート(2LDK/賃貸)四か所、④サテライト型アパート(単身/賃貸)三か所、となっています。現在四七名の方が暮らしています。

利用する方の半数以上は障害支援区分4以上の方たちで、中には特別な配慮や個別支援を必要とする自閉症の方も多くいらっしゃいます。そうした支援度の高い方たちであっても、地域の中で安心した生活を送っていただくために、『サポートカーム』のスタッフだけでは無く、先ほどご紹介した『ルーチェ』と一体的な支援体制を構築することで、二四時間三六五日切れ目の無い支援の提供を可能にしています。この、グループホームとヘルパーステーションの一体的な支援体制は、『サポートカーム』の特徴的な取り組みの一つと言えます。居宅介護の支給量が多い人で一日二時間、入浴や食事、整容などの支援を受けているそうです。私(千葉)は、グループホームで暮らすことが可能な方は、障がいの程度が軽く自立度が高いイメージを持っていましたので、目から鱗(うろこ)です。

また、こうした支援度の高い方たちだけではなく、北斗市近郊の水産工場や製菓工場などに一般就労されている方もいらっしゃいます。そうした方たちは、アパートで単身、または二名で生活されているそうです。そうした意味では、利用する方一人ひとりのニーズに対応可能な支援体制を整えていることが分かります。

カームⅠ(北斗市久根別/定員4名)

カームⅠ(北斗市久根別/定員4名)

次に、グループホームの見学に出かけました。最初は『カームⅠ』です。久根別駅裏手の閑静な住宅街の中にあります。定員は四名です。伺った時には、世話人さんが夕食の支度をされていました。居室も少し見せてもらいましたが、一人ひとり個性や生活感が感じられます。中には一日のスケジュールが視覚的に分かりやすい工夫で掲示されています。こうした支援は、私たちのような入所施設だけで無く、共通した手立てであることを知りました。次に訪れたのは、『カームⅢ』、『カームⅦ』です。一般の賃貸アパートで、各々定員は二名です。

カームⅢ(同上/各定員2名)

カームⅢ(同上/各定員2名)

最後に訪れるのは『ボンコパン(カーム)Ⅵ』です。場所は、北斗市一本木、先ほどご紹介した『ルーチェ』と同じ建物の中にあります。昨年の十二月に完成したばかりです。ところで、「ボンコパン」や「カーム」、そして「ルーチェ」という、あまり耳馴染みの無い洒落た印象のこれらの名前ですが、大野さんに意味を聞いてみました。「ボンコパンは、フランス語で"良い仲間”、カームは英語で"穏やか”という意味です。ルーチェは、イタリア語で"光”や"輝き”という意味を表します」。

カーム・ルーチェ図面

カーム・ルーチェ図面

この建物は、図を見ていただければお分かりになるように、コの字型の作りになっています。男性が利用する『カームⅥ』と、女性が利用する『ボンコパンⅥ』が向かい合うように建ち、その間に『ルーチェ』があります。今回は『カームⅥ』を見学させていただきました。居室は六部屋あります。利用されている方たちの多くは、障害支援区分が4以上の方たちです。バリアフリー構造で、移動や食事、入浴、移動などの生活行為が非常にしやすいような工夫が施されています。また、構造化のアイデアが活用された支援も提供されています。居室6については、部屋の中に浴室やトイレがあり、同居者との接触を可能な限り少なくする、より個別的な構造となっていました。


今回訪れた三つの事業所は、それぞれ独立した事業でありながら、密接な協力体制を築いていることが分かりました。恥ずかしながら「見ること、聞くこと」初めてのことが多かった今回の取材ですが、改めて、おしまコロニーの事業の裾野の広さを感じました。日常の業務以外の視野や知識が広がったように感じる一日でした。



アシスト・ほくと

事業種別:障がい者生活支援センター

ルーチェ

事業種別:障がい児・知的障がい者 居宅介護事業及び移動支援事業

サポートカーム

事業種別:共同生活援助事業

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