おしまコロニーの機関誌「ゆうあい」は、毎月、御家族の方々をはじめ、全国各地の施設・関係機関、団体等に配布されております。多くの方々の寄稿文、実践活動やイベント、エピソードなどを交え、みなさまに近況をお伝えしております。

 

2015年5月号



施設長に就任して


    ワークショップはこだて 施設長 小谷 高大

このたび、平成二十七年四月一日付けで『ワークショップはこだて』の施設長に就任しました小谷と申します。平成十一年に社会福祉法人侑愛会に入職して、早いもので十七度目の春を迎えます。

『ワークショップはこだて』に赴任してから十年が経ちますが、それまでは、ほぼ二年に一度の割合で異動を経験しました。グループホームをバックアップする地域生活支援センターの仕事や入所施設における生活支援を経験した後は、重症心身障がいのある方たちが利用するデイサービス事業の起ち上げに関わりました。一般就労を目指す障がいのある方たちを支援するジョブコーチの仕事などもしたことがあります。

ご存じのとおり、一口に知的障がい福祉の仕事と言いましても、職種は多岐にわたります。通所に入所、児童に成人。対象とする障がいの程度も様々です。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、異動するたび「転職」に似た気分を味わったものです。異動した先では、新しい人間関係を構築し、各々で必要とされるスキルを一から身につけていかなくてはいけません。しかし、異動の経験を重ねることで、おぼろげながら分かったことは、どんな仕事でも「大事にすべきことは何一つ変わらない」ということでした。変わらないこと。変える必要がないこと。私にとって、それは「利用者の方たちの声にならない声に耳を傾け、丁寧に応えようとしていく真摯な姿勢」でした。

施設長という重責が幾ばくかのものさえまだ分かっていない若輩者ですが、新たなステージで挑戦の日々が始まります。利用者の方たちの声や笑顔に応えていくことが出来るように、今までと変わらぬ姿勢で頑張っていきたく思います。

さて、今後の『ワークショップはこだて』についてです。重点的に取り組んでいきたいことは、主に次の三点です。

日中活動支援体制の見直し

『函館青年寮』との一体的運営のあり方、利用する方たちの状態像やニーズの多様化による作業活動一辺倒でのスタイルの限界、全面下請作業による工賃のこと、等の課題が表面化しています。これらの課題は一朝一夕に解消できるものではなく、時間をかけて職員皆で協議検討して一つひとつ整理していきたく思っています。石川地区は、『函館青年寮』開設から今年で四十年が経ちます。多様化し続ける利用者の状態像やニーズに対応可能な日中活動の支援体制の充実を目指していきたいと考えています。

利用する方一人ひとりに対する支援の専門性向上

昨年度より、服巻智子氏(大阪大学大学院招聘教員他)によるコンサルテーションが入りましたが、それによる成果が少しずつ現れていることを実感しています。構造化のアイデアを活用した支援や、一人ひとりに焦点を当てた個別支援を大事にする姿勢は、自閉症の方たちだけに限らず、他者からの支援を必要とする多くの方たちにとって有効であることを再確認することになりました。今後も、特定の職員だけでなく、事業所全体でその専門性の向上に努めてまいりたいと思っています。

地域生活支援体制の強化

ここ数年、家庭状況の変化により在宅生活が困難になるケースが増えています。昨年度、一部を除いてほぼ全ての利用する方や保護者の皆様について、暮らしの希望、ニーズの把握調査を行いました。委員会も設置して、在宅生活の維持に向けての支援や今後の地域生活を考える上で何が必要になるか協議検討しているところです。

最後になりますが、十六年間仕事を続けることが出来たのは、良き上司に指導を受け、同僚に恵まれ、何より利用する方たちに支えられてきたからこそ、と実感しています。本当にそう思います。仕事とは終わりが無いものなのでしょう。一つの山を越えると、また一つの山が立ちはだかります。それを越えるとまた次の山が現れます。私は、仕事を通して半ば強制的に成長させていただいたように思います。また今、一段と大きな山が現れた気がします。その山の頂きの高さに尻込みしそうになる思いは日々増すばかりです。しかし、いつだって大事にすべきことは同じであることに気付く時はそう遠くはないような気もしています。利用する方たちの声と笑顔を羅針盤にしながら、頼もしい同僚たちと一歩ずつ登って行きたく思います。

今後も、皆々様のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。

top

前のページにもどる