To err is human.

これはイギリスの詩人の言葉です。直訳すると人間はエラー、ミスをおかすものとなります。どう解釈されるべきなのでしょうか。
  つよい戒めの言葉ととらえなければなりません。かりに「自分たちは間違わない」などと考えるならばそれは傲慢以外のなにものでもなく、傲慢であることによって却って自分たちがおかしたミス、おかしうるミスに気づくことさえできなくなります。

福祉におけるリスクマネジメントも同じではないでしょうか? どんなに努力を重ねても私たちがおこなう福祉事業のなかでミスを、そして事故を、ゼロにすることはできないのかもしれません。しかし、ゼロに近づけようとする終わりのない努力を積み重ねることはできますし、またそうしなければならないのです。
  どの事故も決して取り返しがつかないのです。

わたしたち、おしまコロニーの事業所、一人ひとりの職員は、福祉サービスを利用される方々、そのご家族から、安心と安全のなかで、 将来の夢や希望の可能性をひろげ、実現し、充実した日々の暮らしを支援することを求められています。その思いに応えることこそが、わたしたちの責任のすべてなのです。

福祉におけるリスクマネジメントの基本的な考え方は、『福祉サービスにおける危機管理に関する取り組み指針〜利用者の笑顔と満足を求めて〜(H14年4月;厚生労働省)』のなかで次のように述べられています。「より質の高いサービスを提供することによって多くの事故が未然に回避できる」。 つまり、事故を回避し、安全を確保するために利用者の自由や主体性を制限するのではなく、「利用者に関する状態像の的確な把握や、それに対してどのようなサービスを実施するかという内容の明確化と、その確実な実施等、いわばこれまでは利用者全体をマスとしてとらえて提供されてきた福祉サービスをより利用者一人ひとりに着目した個別的なサービス提供へと変えていくことが最も強く求められる(「福祉サービスにおける危機管理」より)」ということです。

わたしたち、おしまコロニーの目指すリスクマネジメントも、このクオリティ・インプルーブメント(「質の向上」)を基本に据えて取り組んでいます。

福祉の現場を支えるわたしたちに必要なのは、言うまでもなく緊張感です。ことの大小にかかわらず、なにごとも緊張感をもって物事の手順や状態の確認を徹底していくこと、ソフト・ハード両面にわたり、つねに危険がどこに潜んでいるのかを察知し、具体的な事故防止の手だてを講じていくこと、そしてそれらを迅速に、現実に即して実施していく柔軟な組織の体質を作り上げることが必要です

わたしたちは、安全・あんしん・元気な"おしま"をめざして努力します。その努力の一環として、おしまコロニーの施設・事業所がどのような意識で、どのような取り組みをおこなっているのかを、このページでご紹介(四半期に一度)していきます。内容構成は「取り組み事例」「ヒヤリハット報告(次回より)」「コラム」となっています。
皆さまからの忌憚のないご助言、ご意見、ご批判をいただければ幸いです。

2009年4月
リスクマネジメント委員会office@yuai.jp



前のページにもどる